覆面MANIA 24 での激闘を終えて、久しぶりに我が家へと帰ったパンク・ザ・パンダのもとに、さっそく愛娘のクマ子が駆け寄ってきた。

「やったー!おとうさんだー!クマ子、いい子で待っていたんだよー!」 「さびしくさせてごめんなー」

「わーい、わーい、おとうさんだー!」 「こらこら、おとうさんのお腹をなでるんじゃない」

「ヒップドロップでスリーカウントだー!クマ子強いでしょー!」 「わー、やられたー!」

「おとうさん、試合で疲れているのにごめんね。はい、スペシャルドリンク!」 「ありがとう、ゴクゴク、おいしいよ」
クマ子は久しぶりに帰ってきた大好きなおとうさんに、たっぷりと甘えたいようだ。

「ねえねえ、せっかくだから今からハロウィンパーティーしよう!私がおとうさんを仮装するね!」 「え?もう覆面しているんだけど…」

「ほら、おとうさん、かわいーよ!」 「そ、そうかな?」

「ごめん、おとうさん、やっぱりもう無理」

「じゃあクマ子、お風呂入ってくるねー」 「こら、このまま放っておくな!」
お風呂から上がってきたクマ子は、大好きな塗り絵を、大好きなおとうさんと一緒に楽しんだ。
このなんでもないような時間が、二人にとっては一番かけがえのない時間なのだ。

「ねえ、おとうさん、今日の試合はどうだったの?」 「う、うん。まあ、いい試合だったよ」

「またタイガーさんに負けちゃった?」 「…試合に負けて、勝負に勝ったっていうところかな」

「なあ、クマ子はおとうさんが悪役プロレスラーをやっているの、やっぱり嫌か?」 「えー、嫌じゃないよ。おとうさん、がんばっているもん」
パンク・ザ・パンダは、自分が悪役レスラーであることで、我が子が傷ついていないか、不安で仕方がないのだ。
しかし、クマ子の父親に対する気遣いに、いい子に育ってくれたなとうれしくなったパンク・ザ・パンダだった。

「おとうさんもな、本当は正義の味方になりたいんだよ。ムニャムニャ」 「ふふ。でも私にとっては、いつでも正義の味方だよ!」
つづく(たぶん)